国債は眠らない
ナレーション:借方 18分
国の借金のことを考えて眠れない夜に。穏やかな声が、あなたを恒等式の世界へ連れていきます。
毎晩22時に、新しいお話が届きます。
目を閉じてください。
あなたは、夜行列車の窓際の席に座っています。
窓の外には、どこまでも続く帳簿の海が広がっています。
左の窓には、借方の波。右の窓には、貸方の波。
波は、いつも同じ高さです。
深く、息を吸って。G − T。
ゆっくり、吐いて。S − I + M − X。
列車は、主流派の駅を通過します。停まりません。
車掌がやってきて、あなたの切符を確かめます。
切符には、あなたの名前が書かれていません。
かわりに、勘定科目の名前が書かれています。
それで、いいのです。
前の車両から、懐かしい声がします。家族の声に、少し似ています。
振り返らなくていいのです。それは、海外部門の声です。
列車は、次の会計期間へ向かっています。
終点の名前は、まだ誰も知りません。
知っている人は、みんな、決算済みです。
おやすみなさい。
ナレーション:借方 18分
ナレーション:貸方 31分
ナレーション:雑損失 数え終わるまで
ナレーション:借方 22分
ナレーション:仮受金 12分
ナレーション:非公開 終わりはありません
タップすると、小さな音で流れます。もう一度タップすると止まります。
すべての音は、恒等的に同じです。